段々と体調の方が戻ってきた。
まだ動きはゆっくりでないとできないが寝たきりという事はなくなった。
一週間しないうちに部屋も大部屋に移り血圧の様子を見て点滴もとれた。
点滴が取れるとリハビリが始まった。
知育玩具のようなものだ。ブロックを組み合わせたりして時間を測る。
これは難なくクリアだ。むしろ褒められた。
あとは言葉遊びのようなもの。
「りんご」と言ったら「バナナ」というような言葉を覚えて
後から問題が出される。今思うとひどく簡単なものだ。
が、これが一つもできなかった。忘れてしまう。いくら考えても出てこない。
他にも家に帰ってからの行動、例えば「洗濯籠を持って二階に上がる」といった動きを
実際に病院の階段を籠を持って上ったり降りたりした。
これまた何故かまっすぐ歩いているつもりが壁にぶつかりながらになってしまう。
キッチンで包丁を持つというシュミレーションもした。
きっとこういう事が最初は時間がかかるのだろう。
自分でも「ぬりえ」をして手を動かすようにしたり日記のようにメモを書いたりしていた。
リハビリの中で理学療法士の方と今後のことなど色々話す。
その時に「また戻ってこられる方は結構います。
何かあればすぐに救急車を呼んでください。」と言っていたのが忘れられない…。